私は以前、公立の小中学校の常駐相談員をしてました。
小学校では、ほぼ毎日お母さんからの相談があり、給食は5分で済ませる日々。
そんな小学校の相談員生活の日々で一番多い相談はやはり「発達問題」です。
ところで、この時期になると思いだす、運動会でのトラブル相談。
運動会は、それまでの成長を発表する場所であり、いつもの座学とは違うコミュニケーションを学ぶ場所でもあります。
その時に、起こるトラブルで悩むお母さんからご相談が多く入るのがこの時期です。
ある小学校に勤務していたころのこと。
運動会が終わってすぐ4年生の男の子を持つママさんが相談室を訪ねて来られました。
開口一番「子どもがかわいそうで…」
運動会での出来事を一部始終見ていたお母さんが、自分の子どもが可愛そうで見ていられなかった。
というご相談です。
ダンス種目では子どもたちの位置が決まっていて
次にどう動くのかも決まっています。
この一連の流れを自分で覚えていなければならないのですが、
ご相談に来られたお母さんのお子さんはそれを覚えていなかったようです。
特性のあるそのお子さんにはいつもと違うことをするのは、難しい面があります。
そして周りがそれに対して冷たい対応だったというのがお母さんの嘆きとなってしまったわけです。
会話はこんな感じ。
「僕の場所、どこだったっけ?」
「そんなの知らないよ、それぐらい自分で覚えときなよ。ここだよ。」
「うちの子が可愛そう。もっとみんな親切にしてくれたっていいじゃない」
となったわけです。
確かに、ちょっと耳にすると冷たい会話のようですが、4年生ぐらいならこんな会話じゃないでしょうか?
のお子さんに特性がないからそんなことが言える
一通り話を聞いたあと、お母さんに尋ねました。
「お子さんをどんな風に育てたいですか?」
学校は、このお子さんが特性を持っているお子さんだということは知っています。
クラスの子たちも知っています。
では、それを前提に腫れ物に触るような接し方をしてもらって大事に育てたいのか。
それとも、通常の友人関係、ケンカもしたりバカなこともする、そんな中で育てたいのか。
これはお母さん自信が決めることです。
普通の子に育って欲しい。
それからこのお母さんは、相談室に何度も通って自分自身の考え方を変えられました。
それまで過保護気味だった子どもへの接し方を成長と共に少しずつ変えていったことで
お子さんもどんどん変わっていきました。
そして…
6年生になる前に行われる校内の会議で「支援を要する児童」からこのお子さんは外れました。
子どもは、親が育てるわけです。
「どう育てたいか!」
これを明確にすることで、子どもの未来は大きく変わりますね。