赤ちゃんのうつ伏せ姿勢をみるときはどこに注目していますか?
頭を持ち上げた角度や、左右の傾きだけを見て、うつ伏せ姿勢の変化を判断してはいないでしょうか?
縦抱きやイスを使い始める時期を決めるにあたり、うつ伏せでの頭の角度を目安のひとつにする方がいらしゃいます。しかし、その考えには理学療法士としては賛成できません。
もちろん頭の位置も大切なのですが、その他にも大切なことがあります。
ポイントは次の2つ。
- 重心がどこにあるか(体重がどこにのっているか)
- 足が過度に床から浮いていないか
順番に詳しくお伝えいたします。
1.重心がどこにあるか(体重がどこにのっているか)
月齢が進むと頭のコントロール能力が高まったり、腕でからだを支える力がついていきます。この時うつ伏せ姿勢の重心の位置も変化していきます。
頭を持ち上げるのがやっとの頃は、頭に近い位置に大きく体重が乗っていますが、月齢が進むと胸、お腹、骨盤へと体重を乗せられる位置が変化していきます。
お腹や骨盤あたりに体重を乗せられるくらいになってくると、いわゆる「飛行機姿勢」をとる姿も見かけるようになっていきます。
この飛行機姿勢は腹筋と背筋をめいいっぱい働かせている姿勢なので、赤ちゃんがキャッキャッとはしゃいでも姿勢が安定しています。
一方で背筋を過度に使って反り返っている姿勢は、本来の飛行機姿勢ではなく、姿勢自体が不安定なためコロンと転がってしまうことがあります。
腹筋が使えていると、お腹や骨盤を床に押し付けるからだの使い方ができているはずです。
これができているかどうかは、その後の寝返りやお座りなどにつながっていく重要なポイントなので、うつ伏せ姿勢を通してチェックしてみてください。
2.足が過度に床から浮いていないか
こちらも、先にお伝えした『1.重心がどこにあるか(体重がどこにのっているか)』と同様に、反り返りの力を過度に使っていないかどうかの目安になります。
頭がしっかり持ち上がっていても、うつ伏せ姿勢のときに足がピンと突っ張っていたり、床から極端に足が浮くような力の入り方が習慣化していると、全身に余分な力が入りやすい体の使い方になってしまい、からだの固さやケガのしやすさにつながる心配があります。
うつ伏せ姿勢が安定しているのか、それとも全身に過度な力が入って不安定な姿勢になっているのかでは、その後の発達過程も大きく違ってきます。
うつ伏せ姿勢は頭を持ち上げることだけでなく、
- 腹筋と背筋をバランスよく使うこと
- 腕でからだを支えること
- 背骨や肋骨の位置関係への影響
- 重力方向でモノを見る経験
など、その後の発達に重要な要素がたくさん詰まっています。
縦抱きやイスを使い始める時期を決めるにあたり、うつ伏せでの頭の角度を目安のひとつにする親御さんをSNSで見かけることがあります。
しかしその考えは賛成できません。
うつ伏せで頭の角度がしっかり上がっていることと、首すわりやうつ伏せ姿勢の安定性とは別のことです。
頭が持ちあがっているからと言って、安易に縦抱きやイスに座る経験を赤ちゃんにさせてしまうのはおすすめしません。
特に姿勢がまだ不安定な段階で頭や背中の支えがないタイプのイスを使うのは本当におすすめできません。
まとめ
腹筋と背筋をバランスよく使って、腕でしっかりからだを支え、余裕をもって頭をコントロールできるくらいになると、赤ちゃんのからだへの負担もずいぶん違ってきます。
赤ちゃんのことを考えるならば、特別な理由がない限りは、せめてそのくらいの時期までは待ってあげましょう。
生活の中でどうしても縦抱きが必要になった場合は、必ず頭と背中を支えてあげてください。
月齢の小さいうちに身につけた体の使い方の特徴は、その後の姿勢や動きの中でも同じように表れます。
なめらかでケガのリスクの少ない体の使い方を習得するためにも、安定したうつ伏せ姿勢をしっかり経験させてあげられるといいですね。
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