大人への信頼が崩れる時

以前、私は相談員をしていました。

小学校の相談室に勤務しているとき1年生のA君が1か月ほど相談室登校してきました。

相談室登校とは、不登校の一歩手前、学校には登校してこれるけど教室には行けないという状態です。

A君が教室に行けなくなった理由は「先生」でした。

きっかけは先生の軽いウソから始まりました。

ある日の授業で先生は子どもたちに発破をかけました。

「これ、チャイムがなるまでに出来ないと、居残りして放課後もやらなきゃいけないよ!」

A君はこれを聞いて、「今日はスイミングに行く日だからやっちゃわないと!」

そう思ったんです。

そして、チャイム

先生は言いました。

「みんな、できてないみたいだからこれ宿題ね~!」

皆さん、これどう思いましたか?

「先生嘘ついた!」と思われたか、それとも「先生やさしい!」と思われたか。

A君はというと

「先生嘘ついた!」

と思ったんです。

自分は一生懸命やったのに、「なんだ、結局は残らなくてもいいんじゃないか」

それからも何回か、先生の軽い噓が続いたそうです。

これ、大人ならわかります。

子どもにやる気を出させるための激励言葉。

でも…

1年生のA君にはまだその言葉の意味はわかりません。

素直だからこそ、先生のその言葉を信じて頑張るのです。

では、こんな時先生はどうすればよかったんでしょうか。

私だったらこうするかなと考えました。

「これ、チャイムがなるまでに出来ないと、居残りして放課後もやらなきゃいけないよ!」

と言ってしまったのなら

出来てる子、すごいね。みんなで拍手!

出来なかった人はどうしようか?

みんなどうする?

居残りする?

やだ~(子どもたちの声)

じゃあ、宿題ではどうでしょう?

うんうん(子どもたちのリアクション)

じゃあ、宿題にしますから明日までにしっかりやってきてください。

私たち大人は忙しさのあまり、端的な言葉で何事も片付けようとします。

それがたまに「軽いウソ」になることもあります。

子どもたちはその言葉の裏にどんな思いが込められているのかがわかりません。

それを教えていくのも私たち大人の役目。

とはいえ、こんな子どもに気を使いながら話していたら

自分が壊れちゃうってママもいらっしゃいます。

次回はそのことについてお伝えしたいと思います。

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